精油が瓶から出ないとき、あるいは、出過ぎてしまうとき

アロマディフューザー
  • URLをコピーしました!

エッセンシャルオイル(精油)がなかなか瓶から出てこないこと、ありませんか?
逆に、オイルがボタボタと出過ぎてしまうこと、ありませんか?

このようなとき、「ドロッパーの不良だ!」とか「精油が固まってる!」などと思う人も多いのですが、まずは落ち着いてください。それは精油の性質のせいかもしれません。

滴下のコツなども含め、以下で詳しく見ていきましょう。

目次

精油の粘度(ねんど)について

まず、最初に理解しておかなければならないのは、精油は種類によって「粘度」が異なるという点です。
粘度とはつまり、「ねばりけ、やわらかさ(=粘性)」の度合いのことで、つまりサラッとしたオイルと、ベタッとしたオイルがあるということです。

粘度の低い精油と、滴下のコツ

粘度の低いオイル、つまりサラッとしたオイルの代表は、オレンジやレモンです。これらの精油を滴下するときは、ボタボタと(あるいはドボドボと)流れるように出てしまうことがあります。

このような場合は、瓶をいきなり逆さまにしたりせず、ゆっくり少しずつ傾けるなど、静かに滴下する必要があります。

粘度の低い精油の例

スイートオレンジ、グレープフルーツ、マンダリン、レモン、ライム、ユーカリ

粘度の高い精油と、滴下のコツ

粘度の高いオイル、つまりベタッとしたオイルの代表はベンゾインやベチバーです。これらは瓶を逆さまにしてもまったく出てこないことがあります。

イライラしてブンブンと瓶を振ってしまう人がいますが、これは絶対にやってはいけません(すっぽ抜けて、近くにあるテレビなどを破損するおそれがあります)。瓶を逆さにしたら、そのままじっと待ってください。1滴目が出るまでに30秒以上かかる場合もありますが、待っていればゆっくりとオイルが出てきます。2滴目からはそのまま続けて出ることが多いです。

粘度の高い精油の例

ベンゾイン、ベチバー、パチュリ、サンダルウッド、シダーウッド

ローズ精油とホホバ希釈精油(3%など)には別の原因も

ホホバオイルで希釈したフレグランス精油(ネロリ3%、ジャスミン3%など)の場合は、別の原因でオイルがでてこない場合があります。冬になると出なくなるのです。

ホホバオイルは10℃以下になると凝固する性質がありますので、冬場は寒さで固まってしまうことがあります。室内に置いていても固まる場合がありますので、原因が分からず慌てる方も多いです。対処としては簡単で、温かいお部屋にしばらく置いておけばもとの液体に戻ります。品質に影響はありません。

ローズオイルにも同じ性質がありますので、冬場は固まりやすくなります。「精油が入っていない?」「これは空ビンだ!」と早合点しないように注意しましょう。

精油のドロッパーの構造について

空気穴の位置を意識する

さて、ここからはややマニアックですが、精油のドロッパーのお話です。ドロッパーの構造を理解しておくと、より上手にオイルの滴下をコントロールできます。

一般的なドロッパーを上から見てみましょう。中央にオイルが出る穴(注ぎ口)がひとつあり、サイドにもうひとつ、空気が入るための小さな穴(空気穴)があります。この穴(空気穴)に注目してください。この空気穴の真下がどうなっているか、瓶の横から見てみましょう。長い尻尾のような棒状のものが瓶の下に向かって伸びているのが見えると思います。この尻尾が空気の通り道となり、瓶の外側から内側に空気が入ってオイルを押し出す仕組みです。

したがって、瓶を傾けて滴下する際に、ドロッパーの空気穴の位置が上になるように瓶を持つと、そこにつながっている尻尾のような部分の位置も自然と上側になります。そうすると精油の奥側に空気が入りやすくなり、滴下がスムーズになります。ベチバーなど、粘度が高い精油はなるべくこのような持ち方にすると良いでしょう。

逆に、ドロッパーの空気穴の位置が下になるように瓶を持つと、そこにつながっている尻尾のような部分の位置も自然と下側になり、精油の液体の中に隠れるようになります。そうすると、外からの空気が入りにくくなりますので、オレンジなど、粘度が低い精油はなるべくこのような持ち方をすると良いでしょう。

「生活の木」は特殊なドロッパーを採用

人気の精油メーカーである「生活の木」は、少し変わったドロッパーを採用しています。真ん中に空気穴があり、サイドに精油が出る小さな穴が4つあいているのです。つまり、一般的なドロッパーと逆です。
このタイプのドロッパーは、滴下するときの瓶の向きの影響を受けません。つまり、瓶をどの向きで傾けても、同じように滴下できるのがメリットです。ただ、サイドの穴から精油が出るため、瓶のフチにオイルが付着しやすく、液だれしやすいというデメリットもあります。

空気穴の詰まりに気をつけよう

空気穴の部分に気泡がついていると、空気が入らず、精油が出にくくなることがあります。そのため、空気穴に静かにフッと息を吹きかけてから滴下すると、精油が出やすくなることがあります。
ただし、強く吹きすぎると、逆にオイルが顔に飛んでくる場合がありますので、優しく行なって下さい。

精油1滴の滴下量はどのくらい?

精油1滴の量は、およそ0.05mlです。ただし、この量はドロッパーによって異なります。日本製の瓶の場合は、0.06mlの仕様が多いかもしれません。 ややこしいことに、同じ0.06mlでも出方のスピードが違うドロッパーもあります(言葉で表すと、ポタッポタッと、ポタポタポタポタ、の違い)。

精油メーカーによって採用している容器も異なりますので、あまりにも自分のイメージと出方が違う場合は、別の精油メーカーの精油に切り替えてみるのも良いかもしれません。

イライラしないことが大事

サラサラした精油でも、ベタッとした精油でも、取り扱いにあたって共通して言えることは、とにかく「イライラしないこと」です。瓶や精油に怒りをぶつけたりせず、ゆったりとした気持ちで精油を取り扱ってください。

まとめ

いかがでしたでしょうか?
エッセンシャルの出方はその粘度によって変わります。粘度の低い精油(オレンジやレモンなど)はサラサラとして流れやすいため、ゆっくりと傾けて滴下する必要があります。一方、粘度の高い精油(ベンゾインやベチバーなど)はベタッとして出にくいため、瓶を逆さにしてしばらく待つ必要があります。余裕があれば、ドロッパーの空気穴の位置も意識すると良いでしょう。いずれにしても、精油を取り扱う際は、イライラせず、ゆったりとした気持ちで行なうことが大切です。

著者プロフィール
元AEAJアロマテラピーインストラクター。エッセンシャルオイルの貿易実務に20年以上たずさわってきました。海外のアロマの文献などもチェックしています。

参考文献:
「アロマテラピーのための84の精油」ワンダ・セラー著 フレグランスジャーナル社
「精油の安全性ガイド(上巻、下巻)」ロバート・ティスランド著 フレグランスジャーナル社
「アロマテラピー事典」パトリシア・デービス著 フレグランスジャーナル社
「エッセンシャルオイル総覧2007」三上杏平著 フレグランスジャーナル社
「アロマテラピー検定テキスト(1級、2級)」鳥居鎮夫監修 社団法人日本アロマ環境協会
「アロマテラピーの事典」林真一郎著 東京堂出版
「キャリアオイル事典」レン・プライス著 東京堂出版
「アロマテラピー図鑑」佐々木薫監修 主婦の友社
「女性によく効くアロマセラピー」鮫島浩二著 主婦の友社
「アロマテラピーの事典」篠原直子著 成美堂出版
「はじめてのアロマテラピー」佐々木薫監修 池田書店
「はじめる、楽しむ アロマテラピー」石原裕子監修 永岡書店
「アロマテラピーバイブル」塩屋紹子監修 成美堂出版

アロマテラピーは、病気の治療を目的とした医療行為ではありません。また、当サイトの情報は、精油の医学的な効能、効果を保証するものでもありません。精油を使用する際には、製品についての注意事項をよく読み、自己責任の下、正しくお使い下さい。妊娠中の方、病気のある方、健康状態のすぐれない方は、必ず事前に医師にご相談下さい。 なお、一般的な呼称に合わせて、エッセンシャルオイル(精油)をアロマオイルと表記する場合もあります。

よかったらシェアしてください!
  • URLをコピーしました!
  • URLをコピーしました!
目次