「アロマテラピー」と「アロマセラピー」の違いは?どちらが正しいの?

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「アロマテラピー」と「アロマセラピー」、いったいどっちが正しいの? 
そんな疑問をもったことはありませんか?

結論から言うと、日常会話ではどちらを使っても構わないのですが、アロマ業界的にはちょっとしたニュアンスの違いもあります。

そんなわずかな「差」をここでご紹介いたします。

目次

「アロマテラピー」と「アロマセラピー」、どちらが正しい?

普通の人は違いを意識する必要なし

日常会話の中で使う分には「アロマテラピー」でも「アロマセラピー」でも構いません。

基本的には、外国語の発音を日本語にした時の表記の違いなので、「Hello(こんにちは)」を「ハロー」というか「ヘロー」というか程度の差だと考えてください。

どちらかというと「アロマテラピー」はフランス語的、「アロマセラピー」は英語的だと言われています。

アロマ業界にはわずかなニュアンスの差がある

一方、アロマ業界では、以下のような差があります。

  • 販売系(精油メーカー、小売店):「アロマテラピー」と呼ぶことが多い
  • 医療系(医療従事者、研究者):「アロマセラピー」と呼ぶことが多い

2つの表記の生まれた背景

「therapy(セラピー)」=「治療」という語感に対する配慮

重要な点ですが、アロマは医療行為として認められたものではありません

したがって、症状を改善するような言い回し(たとえば「インフルエンザに効く」、「水虫を治す」、「しわを改善する」など)を使うことはできませんし、そのような営業トークや文面で精油を販売した場合は、法律により罰せられます。

日本では、精油メーカーが中心となって業界団体をつくり、アロマの普及にあたってきました。

しかし、「セラピー」(therapy)という言葉は「治療」を連想させるため、この言葉を前面にだして営業活動をおこなうと法律に抵触するおそれがあります。そこで、「アロマテラピー」という、いわば新語のような言葉を使って普及活動をおこないました。

「アロマテラピー」の呼び方が普及した理由

「日本アロマテラピー協会」の発足

日本では1995年に精油メーカーが中心となって「日本アロマテラピー協会(AAJ)」を発足させました。雑誌の特集や、デパートの一角で「アロマテラピー」という文字を目にすることが増えたのも、ちょうどこのころです。

安全なアロマのためのガイドラインを策定したり、資格制度を作ったりするなど、たいへん有意義な活動を行っていますが、当然ながら業界団体ですので、その根本的な目的は業界の発展にあります。

そもそもアロマをはじめるためには精油の購入が必要で、それを売っているメーカーや小売店が「アロマテラピー」と呼ぶわけですから、こちらの呼び方が普及するのは自然の流れといえるでしょう。

そのため、日本では「アロマテラピー」と発音している人が圧倒的に多いと思います。

「公益社団法人 日本アロマ環境協会」の設立へ

「日本アロマテラピー協会」は、アロマテラピー検定の受験者増などもあって、事業規模もさらに大きくなっていきます。

2005年、日本アロマテラピー協会は、「公益社団法人 日本アロマ環境協会(AEAJ)」へと組織変更を行います。このとき、協会名から「テラピー」の文字が消えました。

現在では法人256社、個人会員46,760人を数える、日本最大のアロマ業界団体にまで成長しています。(2023年時点)

協会名から「テラピー」が消えた?

協会名から「テラピー」の文字が消え、「日本アロマ環境協会」に変わったことには、面白い経緯があります。

公益社団法人化する際、法人を所管する省庁が必要になりますが、最初は厚労省に話を持っていったのです。ところが、「テラピー」という部分がひっかかったのですね。

たとえ「テラピー」と言い換えようが、結局のところ「アロマは治療行為(therapy)ではない」わけですから、お役所側でOKが出なかったのです。

そこで、所管を環境省に変更し、協会名から「テラピー」の文字を削除し、さらに「環境」の文字を(わざわざ)追記して、現在の協会名にいたるわけです。

必然的に事業内容にも環境活動がプラスされましたが、上記のような(大人の)事情を考えればやむを得ないところでしょう。

法改正により、現在では主務官庁制が廃止されています。現在の協会の所管は「内閣総理大臣」です。

「アロマセラピー」の呼び方にこだわる「日本アロマセラピー学会」

一方、「アロマセラピー」という呼び方は、以前から医療従事者や研究者を中心に使われてきました。

代表的なのは、1997年に設立された「日本アロマセラピー学会(JSA)」です。

そもそも、科学的、医学的な見地から、治療への応用としてアロマを研究しているわけですから、それは「セラピー」(therapy=治療)そのものであり、そちらの呼び方のほうが適切と考えているのかもしれません。

最近では、香りで認知症を予防する論文なども発表されましたし、分娩の際にアロマを使ったトリートメントを行う病院も多くあります。

ただ、医療従事者や研究者がみな「アロマセラピー」という呼び方をするわけでもなく、アロマの論文の中には「アロマテラピー」を使う人も多いですので、その点は注意が必要です。

まとめ

以上、「アロマテラピー」と「アロマセラピー」のこまかなニュアンスの違いについて説明いたしました。

くりかえしますが、普通の人が日常会話でつかう分にはどちらでも構いません。

販売の現場では「アロマテラピー」の呼び方のほうが多く使われておりますし、日本最大のアロマ業界団体である「(公社)日本アロマ環境協会」でもその呼び方を支持していますので、迷ったときは「アロマテラピー」と呼んでおくとよいかもしれません。


ちなみに、アロマテラピーの定義や、誰がこの言葉をつくったかについては、以下の記事もお読みください。

著者プロフィール
元AEAJアロマテラピーインストラクター。エッセンシャルオイルの貿易実務に20年以上たずさわってきました。海外のアロマの文献などもチェックしています。

参考文献:
「アロマテラピーのための84の精油」ワンダ・セラー著 フレグランスジャーナル社
「精油の安全性ガイド(上巻、下巻)」ロバート・ティスランド著 フレグランスジャーナル社
「アロマテラピー事典」パトリシア・デービス著 フレグランスジャーナル社
「エッセンシャルオイル総覧2007」三上杏平著 フレグランスジャーナル社
「アロマテラピー検定テキスト(1級、2級)」鳥居鎮夫監修 社団法人日本アロマ環境協会
「アロマテラピーの事典」林真一郎著 東京堂出版
「キャリアオイル事典」レン・プライス著 東京堂出版
「アロマテラピー図鑑」佐々木薫監修 主婦の友社
「女性によく効くアロマセラピー」鮫島浩二著 主婦の友社
「アロマテラピーの事典」篠原直子著 成美堂出版
「はじめてのアロマテラピー」佐々木薫監修 池田書店
「はじめる、楽しむ アロマテラピー」石原裕子監修 永岡書店
「アロマテラピーバイブル」塩屋紹子監修 成美堂出版

アロマテラピーは、病気の治療を目的とした医療行為ではありません。また、当サイトの情報は、精油の医学的な効能、効果を保証するものでもありません。精油を使用する際には、製品についての注意事項をよく読み、自己責任の下、正しくお使い下さい。妊娠中の方、病気のある方、健康状態のすぐれない方は、必ず事前に医師にご相談下さい。 なお、一般的な呼称に合わせて、エッセンシャルオイル(精油)をアロマオイルと表記する場合もあります。

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