芳香浴の方法、楽しみ方、メリット・デメリットを徹底比較

アロマポット
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芳香浴(ほうこうよく)とは、エッセンシャルオイル(精油)の香りをお部屋にひろげて、香りを楽しむこと。日常のストレスから解放され、ゆったりとした気分を味わうことが出来ます。アロマテラピーを楽しむ上で、最もポピュラーな方法です。

アロマライトなどの器具を使って拡散させる方法がよく知られていますが、スプレーやティッシュを使って簡単に香りを楽しむ方法もあります。

リラックスや安眠に最適な芳香浴。
その方法や楽しみ方、メリット、デメリットを、以下で詳しく見ていきましょう。

目次

アロマポット(オイルウォーマー/アロマバーナー)

アロマポット

使い方と特徴

アロマポット(オイルウォーマー)は、キャンドル式のアロマ芳香器です。上部の受け皿にお湯や水を入れた後、エッセンシャルオイルを4~5滴たらして使います。ポットの下にキャンドルをセットし、火をつけると、熱の力で精油が揮発し、お部屋に香りがひろがります。 キャドルには、専用のティーライトキャンドル(丸い平型のキャンドル)を使います。1つで4~5時間ほど炎が持続します。

メリット

  • 比較的安価で手に入ります。
  • ゆらゆら揺れるキャンドルの炎で、視覚的にも癒やされます。
  • 火を使うため、ちょっとした儀式のような楽しさを味わえます。

デメリット

  • キャンドルのランニングコストがかかります。
  • 火を使うため、火事にならないように気をつける必要があります。
  • 火を使うため、就寝時には利用することができません。
  • 空焚きをした場合、お皿が割れたりすることがあります。

アロマライト(アロマランプ)

アロマライト

使い方と特徴

アロマライト(アロマランプ)は、電気式のアロマ芳香器です。電球の熱で器具を温め、精油を揮発させて香りを広げます。上部の受け皿に精油を4~5滴たらして使います。スイッチを入れると電球が灯り、やさしい光と香りがお部屋に広がります。

多くのアロマライトの受け皿は小さく、また薄いため、受け皿には直接精油を垂らして使用します。(お皿が大きければ、アロマポットと同じように水やお湯をはってから精油を垂らすこともできます。どちらの方法でも構いません。)

素材は陶器製のものが一般的です。長いコードがついている置き型(卓上)タイプと、壁のコンセントに直接差し込むコンセントタイプがあります。

メリット

  • 火を使わないため安全で、就寝時でも安心して使用することが出来ます。熱くなりすぎないため、空焚きになっても問題ありません。
  • デザインが豊富で、お部屋のインテリアとしても楽しめます。
  • アロマを使わなくても、お部屋の照明として、あるいはベッドサイドの常夜灯として楽しむことができます。

デメリット

  • アロマポットに比べて価格は高めです。
  • 電球の熱で温める関係上、香りをひろげる力はあまり強くはありません。器具はできるだけご自身のそばに置いて使用すると良いでしょう。

アロマディフューザー

英語の「aroma diffuser」は、「香りを拡散させるもの」という意味です。したがって、香りをひろげるものは何でもアロマディフューザーと呼ぶことはできますが、日本では、比較的高級ラインの、機械を使ったタイプを指すことが多いです。香りを拡散させるメカニズムに違いがありますので、一つずつ見ていきましょう。

超音波式アロマディフューザー(ミストタイプ)

アロマディフューザー

使い方と特徴

ミスト(霧)が吹き上がるタイプのアロマ芳香器です。タンク内の水に精油を5~10滴おとし、超音波振動板で水を振動させ、ミストを発生させて香りをひろげます。発生したミストが目に見えるため、視覚的にも楽しめます。イルミネーションやタイマー機能を備えたものもあります。

メリット

  • 香りをひろげる力は強く、広いエリアに香りを拡散することができます。
  • ミストがはっきりと見えるため、視覚的にもインテリアとしても楽しめます。
  • 熱を使わないため、ミストも冷たく、やけどなどの心配がありません。

デメリット

  • 発生するミストの量は少ないため、加湿の機能はほとんどありません。
  • 水を使うため、タンク内は清潔に保つ必要があります。カビや雑菌があると、それも拡散してしまいます。消毒用アルコールなどで清掃すると良いでしょう。
  • 比較的故障が多いです。購入にあたってはメーカー保証が付いているかどうか確認しましょう。

スチーム式アロマディフューザー(加湿器タイプ)

使い方と特徴

タンクの水を加熱し、蒸気とともに香りをひろげるアロマ芳香器です。加湿器の付属の機能としてついているものが多く、アタッチメントとして精油を垂らす場所があったり、専用のフィルターなどをセットして香りをひろげます。 超音波式との違いは、加熱を行うという部分です。そのため蒸気は熱くて触ることはできません。

メリット

  • 加湿量が多めで、冬場のお部屋の加湿に向いています。

デメリット

  • 熱い蒸気が出るため、やけどに注意が必要です。
  • 蒸気はそれほどしっかりとは見えません。

気化式アロマディフューザー(ネブライザータイプ)

アロマディフューザー

使い方と特徴

精油の瓶を直接セットし、精油の微粒子をそのまま拡散するアロマ芳香器です。 圧縮空気を使い、気圧の差を利用して細い管からアロマオイルを吸い上げ、勢いよく吹きつけて内壁にぶつけ、微粒子にして外に送り出すという構造です。以前はガラス製の繊細なものが中心でした。最近は素材を樹脂や金属に変更し、さらにカートリッジ方式にして精油の瓶を直接セットできるものが登場し、非常に取り扱いが簡単になりました。今では、こちらが主流となっています。

タイマー機能やインターバル機能(間欠運転)などもついており、高機能なものが多いです。噴射された精油は、ほとんど目には見えません。

メリット

  • 加熱しないため、エッセンシャルオイル本来の香りをそのまま広げることができます。
  • 10畳以上の広いエリアにも香りを広げることが出来ます。
  • 350ml缶ほどのサイズのものが多く、コンパクトで場所をとりません。

デメリット

  • 器具の価格は高めです。
  • 精油の消費量はきわめて多いです。
  • 精油が目詰まりしやすいため、エタノールで定期的に洗浄が必要になります。またオレンジなど精油の種類によっては樹脂が溶けるため、噴射用のカートリッジは交換が前提です。
  • 比較的故障も多いです。購入にあたってはメーカー保証が付いているかどうか確認しましょう。

アロマブリーズ(アロマファン芳香器)

アロマブリーズ

使い方と特徴

アロマブリーズは、風の力を使ったアロマ芳香器です。小さなファンの力で風をおこし、専用のマットに染み込ませた精油の香りを広げます。 手のひらサイズのコンパクトなものが多く、また乾電池で動作するため、バッグなどに入れて外出先で香りを楽しむことが出来ます。

メリット

  • コンパクトで場所をとらないため、枕元やデスクの上など、どこでも香りを楽しむことができます。
  • コードレスのため、持ち運びが簡単です。
  • ファンの動作がしずかで、ほとんど音がしません。

デメリット

  • マットや乾電池のランニングコストがかかります。
  • お部屋中に香りをひろげるほどの力はないため、近くに置いて香りを楽しむ必要があります。
  • 扇風機などのように、風で涼を取ることはできません。

ドライブタイム(車用アロマディフューザー)

ドライブタイム

使い方と特徴

ドライブタイムは、車用のアロマ芳香器です。専用のパッドに精油を3~5滴しみこませて本体にセットし、車のシガーライターソケットにさして使用します。熱のちからで精油の揮発を促し、車内に香りをひろげます。

メリット

  • 車用の芳香剤とは違い、天然の精油の香りを楽しむことができます。
  • コンパクトでインテリア性も高く、車内で香りを楽しむにはピッタリのアイテムです。

デメリット

  • パッドのランニングコストがかかります。
  • 揮発させるちからはそれほど強くないため、香りを感じにくい場合もあります。

アロマペンダント(アロマネックレス)

アロマペンダント

使い方と特徴

アロマペンダントは、ペンダント型のアロマ芳香器です。ペンダントヘッドにマットやフィルターをセットし、そこに精油を1~3滴たらして香りを楽しみます。火や熱を使わないため、精油本来の香りを気軽に楽しむことができます。

メリット

  • 精油をたらすだけなので、とても手軽に香りを楽しむことができます。
  • 外出時に香りを楽しむのにも向いています。
  • 形やデザインが豊富で、ファッションアイテムとしても楽しめます。

デメリット

  • マットやフィルターのランニングコストがかかります。
  • 通常のペンダントよりもサイズが大きくなりがちで、素材によっては重さを感じる場合もあります。

アロマストーン

アロマストーン

使い方と特徴

アロマストーンは、素焼きの陶器や石膏など、エッセンシャルオイルが染み込む素材でできたアロマグッズです。直径3~5cmくらいのコイン状、プレート状のものが一般的ですが、ハート型や葉っぱ型のもの、動物や建物を型どった立体的なものなどもあります。精油を4~5滴染み込ませて香りを楽しみます。火や水を使わないため、精油本来の香りを楽しむことができます。 香りが弱くなったときは、そのまま精油を注ぎ足します。ストーンは洗いません。香りを変えるときは、精油の香りがとんでから行います。

メリット

  • 精油をたらすだけなので、とても手軽に香りを楽しむことができます。
  • サイズがコンパクトで持ち運びしやすいため、枕元やデスク、玄関、トイレなど、あらゆるところで利用できます。
  • 色やデザインが豊富で、グッズとしても楽しめます。

デメリット

  • 精油は陶器の奥の方まで染み込みますので、香りが完全に消えることはなく、香りを変えても前の香りが若干残ることがあります(ほとんど気にはなりません。)
  • お部屋中に香りをひろげるほどの力はないため、近くに置いて香りを楽しむ必要があります。

アロマスプレー

アロマスプレー

使い方と特徴

アロマスプレーは、スプレーを使ってお部屋に香りをひろげる方法です。市販のアロマスプレーもありますが、スプレー容器を使って自宅で作ることもできます。
作り方は簡単です。スプレーボトルにエタノール(や除菌アルコール)を10分の1ほど入れ、エッセンシャルオイルを数滴おとしてかき混ぜ、最後に精製水を入れて完成です。よく振ってから使用します。エタノールはオイルと水の両方に混ざる性質があり、つなぎのような役割を果たすので、なるべく使用したほうがよいでしょう。

メリット

  • リフレッシュする精油を使って、お部屋の空気や気分をさっと変えることができます。
  • 殺菌や消臭効果のある精油を使えば、簡単にお部屋の浄化、消臭ができます。
  • マスクを除菌するためのマスクスプレーを作ることもできます。

デメリット

  • 香りは長くは持続しません。

マスク(マスクシール/アロマシール)

マスクと女性

使い方と特徴

マスクの外側のあまり肌にふれない部分に、精油を1~2滴たらして香りを楽しみます。火や熱を使わないため、精油本来の香りを気軽に楽しむことができます。
最近はマスクに貼るアロマシールも人気があります。これは直径1~2cmのシールで、表面は精油が染み込む素材で出来ています。このシールに精油を染み込ませてマスクに貼れば、マスクに直接精油をつけることなく、同じ効果が期待できます。

メリット

  • 手軽に香りを楽しめます。
  • 外出時で香りを楽しむのに向いています。
  • 花粉シーズンにも役立ちます。

デメリット

  • 精油によっては、マスクに色やシミがついてしまう場合があります。
  • 皮膚や唇に直接オイルが触れると、かぶれやかゆみを引き起こす場合があります。

ハンカチ、ティッシュ、コットン

使い方と特徴

ハンカチやティッシュ、コットンに精油を1~2滴たらして香りを楽しみます。 寝付きの悪いときに枕元に置いたり、外出先で気分が悪いときにリフレッシュしたりすることができます。

メリット

  • もっとも簡単に香りを楽しむことができます。
  • ティッシュやコットンを使えば使い捨てできるため、とても手軽です。

デメリット

  • 近くに置いて香りを楽しむ必要があります。
  • ハンカチを使う場合、精油によっては色やシミがついてしまう場合があります。

マグカップ/ボウル/洗面器

マグカップ

使い方と特徴

マグカップやボウル、洗面器にお湯を注ぎ、精油を1~5滴たらして、立ち上る蒸気を吸い込みます。熱いお湯を注げば、香りもすばやく立ち上がります。

メリット

  • お湯を使うと精油の揮発が早いので、すばやく香りをひろげることができます。
  • のどの不調を緩和したいときや、病人のいるお部屋の空気を浄化したいときなどに有効です。

デメリット

  • 熱いお湯を使う場合は、やけどに注意する必要があります。
  • 蒸気がせきを誘発する場合もあります。喘息の方は控えたほうが良いでしょう。
  • マグカップを使う場合は、自分や他人が誤って飲まないように注意が必要です。

まとめ

いかがでしたでしょうか?
芳香浴は、エッセンシャルオイル(精油)の香りをひろげて、その香りを楽しむこと。アロマポットやアロマライトなどの器具を使う方法のほか、ティッシュやコットン、マグカップを使う方法など、簡単で手軽にできる方法もあります。
どれか一つを使う、というよりも、シチュエーションに合わせて、いろいろな方法を使い分けている人がほとんどだと思います。上記を参考にして、いろいろな方法で、いろいろな場所で、アロマを楽しんでください!

著者プロフィール
元AEAJアロマテラピーインストラクター。エッセンシャルオイルの貿易実務に20年以上たずさわってきました。海外のアロマの文献などもチェックしています。

参考文献:
「アロマテラピーのための84の精油」ワンダ・セラー著 フレグランスジャーナル社
「精油の安全性ガイド(上巻、下巻)」ロバート・ティスランド著 フレグランスジャーナル社
「アロマテラピー事典」パトリシア・デービス著 フレグランスジャーナル社
「エッセンシャルオイル総覧2007」三上杏平著 フレグランスジャーナル社
「アロマテラピー検定テキスト(1級、2級)」鳥居鎮夫監修 社団法人日本アロマ環境協会
「アロマテラピーの事典」林真一郎著 東京堂出版
「キャリアオイル事典」レン・プライス著 東京堂出版
「アロマテラピー図鑑」佐々木薫監修 主婦の友社
「女性によく効くアロマセラピー」鮫島浩二著 主婦の友社
「アロマテラピーの事典」篠原直子著 成美堂出版
「はじめてのアロマテラピー」佐々木薫監修 池田書店
「はじめる、楽しむ アロマテラピー」石原裕子監修 永岡書店
「アロマテラピーバイブル」塩屋紹子監修 成美堂出版

アロマテラピーは、病気の治療を目的とした医療行為ではありません。また、当サイトの情報は、精油の医学的な効能、効果を保証するものでもありません。精油を使用する際には、製品についての注意事項をよく読み、自己責任の下、正しくお使い下さい。妊娠中の方、病気のある方、健康状態のすぐれない方は、必ず事前に医師にご相談下さい。 なお、一般的な呼称に合わせて、エッセンシャルオイル(精油)をアロマオイルと表記する場合もあります。

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