ベンゾイン・・・聞き慣れないオイルね
そうですね。でも、あまい香りで人気がありますよ。安息香(あんそくこう)っていう別名もあります
安息・・・ってことは、リラックスする香りね!
そうそう! それにね、意外とスキンケアにもいいんですよ。以下で詳しく見ていきましょう
ベンゾインってどんな精油?
どんな香り?
バニラのような甘い香り
どんな植物?
東南アジア原産の落葉紅葉樹。インドネシアやマレーシア、タイなどの熱帯雨林で生育し、10メートルを超える高さにまで成長します。
この木の樹皮に傷をつけると、そこから甘い香りのする茶色の樹液がにじみ出てきます。これが固まってできた樹脂を揮発性の有機溶剤で溶かし、ベンゾインの精油を抽出します。このような方法を使って樹脂から抽出された精油は「レジノイド」と呼ばれます。
エピソードや歴史、豆知識など
ベンゾインの甘い香りは人々に安心と安らぎをもたらすことから、別名、「安息香(あんそくこう)」とも呼ばれています。悪霊を追い払う力があると信じられ、フランキンセンスなどとともに古くから宗教的儀式の際の薫香として利用されてきました。
現在では香水の保留剤としてもひんぱんに使用されています。
ベンゾイン精油のプロフィール
エッセンシャルオイルデータ(学名、成分など)
英名 | Benzoin ベンゾイン |
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和名 | アンソクコウノキ |
学名 | Styrax benzoin(スマトラ産) Styrax tonkinensis(シャム産) |
科名 | エゴノキ科 |
抽出部位 | 樹脂 |
抽出方法 | 有機溶剤抽出法 |
主な産地 | スマトラ、インドネシア、マレーシア、タイ、ラオス、ベトナム |
主な成分(シャム産) | 安息香酸(80%)、コニフェリルエーテル(7%)、ケイ皮酸ベンジル(5%)、安息香酸ベンジル(2.7%)、バニリン(2%) |
主な効能、効果 | 鎮静、組織細胞再生、抗炎症、鎮痛、鎮痙、神経バランス調整、去痰、収れん |
香りの系統 | 樹脂系 |
香りのノート | ベースノート |
ベンゾイン精油の主な成分と作用
安息香酸(80%)
強力な抗菌作用と防腐作用があり、感染症の予防や肌トラブルの改善に役立ちます。また、抗炎症作用もあり、肌荒れやかゆみを和らげる効果が期待できます。
コニフェリルエーテル(7%)
軽度の鎮痛作用があり、筋肉や関節の痛みを和らげる効果が見込めます。さらに、リラックス効果も期待できるため、緊張の緩和にも役立つと考えられます。
ケイ皮酸ベンジル(5%)
抗菌・抗真菌作用があり、肌の保護や感染予防に効果的です。また、鎮静作用があるため、リラックスを促し、ストレス緩和にも期待できます。
安息香酸ベンジル(2.7%)
防腐・抗菌作用があり、皮膚の炎症を抑え、傷の回復を助けます。さらに、香りによるリラクゼーション効果もあり、安らぎをもたらすことが期待できます。
バニリン(2%)
甘い香りを持ち、リラックス効果が高い成分です。心を落ち着かせ、ストレスや不安を和らげる作用があり、心にやすらぎを与えることが期待できます。
ベンゾイン精油の効能や効果
こころに対する効能
- 緊張やストレスを和らげ、気持ちを静める
- 孤独や悲しみをなぐさめる
からだに対する効能
- せきやたん、喘息、気管支炎など、呼吸器系の不調を改善する
- 関節の痛みや炎症をやわらげる
肌に対する効能
- 乾燥肌にうるおいを与え、赤みや炎症を鎮める
- あかぎれやしもやけ、にきびを改善する
専門家からのアドバイス(注意点なども)
元AEAJアロマテラピーインストラクターで、20年以上アロマ業界にいた私から一言
甘い香りが少ないアロマテラピーの中で、バニラのようなベンゾインの香りは貴重な存在です。この香りが好きな人は意外と多いですよ。
ベンゾインは常温では個体の物質ですので、ボトルに入れて販売するためには、必ずアルコール類などで希釈される必要があります。100%のベンゾインは滴下ができないのです。誠実なメーカーは、何を使って何%に希釈しているかを適切に表示していますが、何も記載していないメーカーはあまり信頼がおけないと言っていいでしょう。
精油の粘度はとても高くて、ビンからなかなか出てこないこともあります。それが普通です。イライラしたりせずに、ビンを逆さにしたまま1滴目が落ちるのをじっと待ってください。数十秒待たされることもありますが、1滴目が出ると、2滴目からは比較的スムーズに滴下できますよ。
それから、アロマポットやアロマライトなどの受け皿にはった水に精油を落としたとき、水の表面に精油が広がらずに、精油が固まりとなって水の底に沈んでしまうこともあります。そのような時は香りも広がりにくいので、別の方法を試したほうが良いかもしれません。
なお、集中したいときには使用を控えてください。眠くなることがあります。
アロマセラピストコラム(体験談やおすすめの楽しみ方)
アロマセラピストの知人に、体験談やおすすめの楽しみ方、レシピなどを聞きました
ベンゾインはとても甘くて落ち着いた雰囲気の香りなのですが、実は働く女性たちの間で人気なんです。このまったりとした感じが心地よい、という声をよく聞きます。
仕事でストレスを感じた後にこの香りをお部屋に漂わせると、疲れが自然と溶けていって、穏やかな気持ちを取り戻せるんですよ。アロマポットで楽しむのはもちろん、トリートメントとして使えば、体の疲れもほぐれて、緊張した心もリラックスできます。
ベンゾインのトリートメントは、かかとやひざ、ひじなどの部分にとてもいいです。手軽なトリートメントオイルで済ませても良いですし、時間に余裕があるときは、ミツロウでクリームを手作りして、朝晩のケアに取り入れてみるのもいいですよ!
ベンゾイン単品でも素敵ですが、オレンジやマンダリンのような甘い柑橘系と合わせるのも良いです。少し意外かもしれませんが、ラベンダーと組み合わせると、また違った魅力が引き出せます。ぜひ、いろいろな組み合わせを試してみてくださいね。
ベンゾインのおすすめの使い方
心を落ち着けたいとき
不安を鎮めて心を落ち着けたいときは、ティッシュやハンカチにベンゾインのアロマオイルを1、2滴たらして、ゆっくりと吸い込んでみましょう。目をつぶり、深呼吸をするようにゆっくりと呼吸をすると効果的です。
自宅にいるときには、アロマポットやアロマライトでお部屋に香りを広げてみましょう。ラベンダーやオレンジ、フランキンセンス、サンダルウッドなどをブレンドしても良いでしょう。
部分的なスキンケアに
お肌の乾燥や、ひじ、かかとが気になる方は、ベンゾイン精油を使った手作りクリームにチャレンジしてみましょう。ホホバオイルなどのキャリアオイル10 mlに2gのミツロウを入れて湯煎(またはレンジ)で溶かし、クリーム容器に移してよくかき混ぜます。粗熱が取れたらベンゾイン精油を2滴ほど加え、さらにかき混ぜれば完成です。寝る前などにお肌の気になる部分にぬり込みましょう。
香りの保留剤として
ベンゾインの精油は揮発しにくい性質があるため、精油をブレンドする時の保留剤として利用することができます。香りを長くとどめたいというときは、ベンゾインの精油を少しだけ混ぜてみましょう。香水を作るときにもおすすめです。
ベンゾインと相性の良い精油
スイートオレンジ、サイプレス、サンダルウッド、ジュニパー、フランキンセンス、ローズ、プチグレン、ベルガモット、ミルラ、ラベンダー、レモン
いかがでしたでしょうか?
毎日の健康に、そして美容に、アロマテラピーをぜひ活用してください!