香水の香りが変化するのはなぜ? 精油のノートの話

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香水の香りが時間とともに変化するのはなぜでしょうか?
香水にはたくさんの種類のエッセンシャルオイル(精油)がブレンドされていますが、それぞれの精油の香りの持続時間は、ひとつひとつ異なります。 それが、香水の香りに微妙な変化をもたらすのです。

それでは、精油をブレンドするときに大切な「精油のノート」について、見ていきましょう。

目次

精油のノートとは?

精油の揮発の度合いや香りの持続時間のことを「ノート」と言います。
精油の香りの立ち上がり方を示したものと理解しておけば良いでしょう。

精油をブレンドするときに異なるノートを組み合わせると、深みのある、長続きする香りをつくることができます。 特に、たくさんの精油をブレンドしてつくる香水には、このノートの理解が欠かせません。

以下にその特徴を説明します。

精油の3つのノートについて

ノートは「トップ」「ミドル」「ベース」の3つに分類されます。
もちろん、実際にははっきりと分類できるわけではなく、トップとミドルの中間、ミドルとベースの中間といったものもたくさんあります。おおよその目安としてとらえてください。

トップノート(Top note)

「トップノート」とは、精油の芳香成分の分子量が小さく、立ち上がりの早い香りのこと。 30分から2時間程度持続します。 明るく、リフレッシュさせる香りが多く、心を元気づけ、体にエネルギーを与えてくれます。
オレンジ、レモンなどの柑橘系や、ユーカリ、ミントなどの鋭い香りはトップノートに分類されます。

トップノートの例

グレープフルーツ、レモン、レモングラス、ライム、スイートオレンジ、ベルガモット、バジル、ユーカリ、ペパーミント、スペアミント、プチグレン、パインニードル、ラベンダー(トップ~ミドル)

ミドルノート(Middle note)

「ミドルノート」とは、ゆっくりと立ち上がる香りのこと。トップとベースの中間的な位置づけ。 2時間から6時間程度持続します。 バランスのとれた、温かみのある香りで、ブレンドオイルの中の鋭い香り、とげとげしい香りを和らげ、角の取れた、丸みのある香りへと調和をはかります。
イランイラン、ゼラニウム、ローズなどの花系や、ハーブ系の多くはミドルノートに分類されます。

ミドルノートの例

パルマローザ、ゼラニウム、ローズゼラニウム、ローズ、ジャスミン、コリアンダー、シナモン、シトロネラ、クラリセージ、サイプレス、ジュニパーベリー、マージョラム、オレガノ、ローズウッド、ローズマリー、リツェアクベバ、ティートリー、ラベンダー(トップ~ミドル)

ベースノート(Base note)

「ベースノート」とは、精油の芳香成分の分子量が大きく、立ち上がりの遅い香りのこと。 6時間から数日程度、安定的に香りが持続します。 落ち着いた、リラックスさせる香りが多いですが、濃厚で、存在感もあります。他の精油の揮発を遅らせる保留剤としても働きます。
サンダルウッドやフランキンセンスなどの樹木系や樹脂系の多くはベースノートに分類されます。

ベースノートの例

フランキンセンス、サンダルウッド、シダーウッド、パチュリ、ベチバー、ベンゾイン

まとめ

いかがでしたでしょうか?
精油の揮発の度合いや香りの持続時間のことを「ノート」と言います。ノートには「トップノート」「ミドルノート」「ベースノート」の3つがあり、精油をブレンドするときに異なるノートを組み合わせると、バランスの良い香りをつくり出すことができます。香水の香りが時間とともに微妙に変化するのも、このノートが関係しています。

著者プロフィール
元AEAJアロマテラピーインストラクター。エッセンシャルオイルの貿易実務に20年以上たずさわってきました。海外のアロマの文献などもチェックしています。

参考文献:
「アロマテラピーのための84の精油」ワンダ・セラー著 フレグランスジャーナル社
「精油の安全性ガイド(上巻、下巻)」ロバート・ティスランド著 フレグランスジャーナル社
「アロマテラピー事典」パトリシア・デービス著 フレグランスジャーナル社
「エッセンシャルオイル総覧2007」三上杏平著 フレグランスジャーナル社
「アロマテラピー検定テキスト(1級、2級)」鳥居鎮夫監修 社団法人日本アロマ環境協会
「アロマテラピーの事典」林真一郎著 東京堂出版
「キャリアオイル事典」レン・プライス著 東京堂出版
「アロマテラピー図鑑」佐々木薫監修 主婦の友社
「女性によく効くアロマセラピー」鮫島浩二著 主婦の友社
「アロマテラピーの事典」篠原直子著 成美堂出版
「はじめてのアロマテラピー」佐々木薫監修 池田書店
「はじめる、楽しむ アロマテラピー」石原裕子監修 永岡書店
「アロマテラピーバイブル」塩屋紹子監修 成美堂出版

アロマテラピーは、病気の治療を目的とした医療行為ではありません。また、当サイトの情報は、精油の医学的な効能、効果を保証するものでもありません。精油を使用する際には、製品についての注意事項をよく読み、自己責任の下、正しくお使い下さい。妊娠中の方、病気のある方、健康状態のすぐれない方は、必ず事前に医師にご相談下さい。 なお、一般的な呼称に合わせて、エッセンシャルオイル(精油)をアロマオイルと表記する場合もあります。

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