柑橘系アロマで肌トラブル?精油の光毒性(ひかりどくせい)をご存知ですか?

精油の光毒性について
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「光毒性(ひかりどくせい)」という言葉をご存知でしょうか?
柑橘系のアロマオイル(精油)は爽やかな香りで人気がありますが、マッサージなどでお肌に使うときは、この「光毒性」に注意が必要です。精油の中には、お肌に使用した後に紫外線を浴びると、肌トラブルを引き起こすものがあるのです。

この記事では、光毒性の仕組みや原因となる精油、肌トラブルを防ぐ方法についてわかりやすく解説します。

「毒性」とか言われると怖いわね・・・

まあ、昼間にマッサージしなければ良いだけですので、それほど心配しなくても大丈夫ですよ。香りを嗅ぐだけでしたら、問題ありませんし・・

ベルガモットFCFとか、安全な精油もあるのよね

はい、マッサージ使用の多い人はそういうものが良いですね。ともかく、光毒性の仕組みを知るのは大切ですので、以下でみていきましょう

目次

光毒性って何? アロマ初心者にもわかりやすく解説

女性のシミ

光毒性の定義と仕組み

「光毒性(ひかりどくせい)」とは、精油などに含まれる特定の化学物質が紫外線と反応し、お肌にシミ(色素沈着)や炎症などの有害な影響をおよぼすことを言います。

精油をマッサージなどでお肌に塗布した後に太陽光を浴びると、成分が紫外線を吸収し、活性酸素を発生させることがあります。その結果、皮膚組織が損傷し、炎症や色素沈着などの肌トラブルを引き起こすわけです。

特に柑橘類の果皮に多く含まれる「フロクマリン類」(特にベルガプテン)が、光毒性の原因成分として知られています。

肌トラブルの症状について

光毒性による肌トラブルには次のような症状があります。

  • 赤みや炎症:塗布した部位に赤みが生じ、ヒリヒリとした痛みを伴うことがあります
  • 色素沈着:紫外線を浴びた部分にシミや黒ずみが残る場合があります
  • 水ぶくれ:重症の場合、やけどに似た水疱ができることもあります
  • かゆみ:時間が経つと、かゆみを伴う発疹が出ることがあります
「光毒性」と「光感作」の違い

「光毒性(ひかりどくせい)」と似た言葉に「光感作(ひかりかんさ)」がありますが、両者は異なる反応です。「光毒性」は誰にでも起こりうる直接的な皮膚反応で、数分から数時間で症状が現れるのが特徴です。「光感作」は特定の人に起こる免疫反応(アレルギー反応)で、症状が現れるまでに24時間から48時間かかる場合もあります。

柑橘系精油にご用心!光毒性に注意するべきアロマオイル(精油)

ベルガモット精油

以下のアロマオイル(精油)には光毒性が認められます。アロママッサージなどに使用する場合は、直後に紫外線に当たらないように注意が必要です。

精油名抽出方法主な光毒性成分推奨される日光回避時間
ベルガモット圧搾法フロクマリン類(特にベルガプテン)使用後12時間以上避ける
グレープフルーツ圧搾法フロクマリン類(特にベルガプテン)使用後8〜12時間避ける
レモン圧搾法フロクマリン類使用後12時間以上避ける
ライム圧搾法フロクマリン類使用後12時間以上避ける
ビターオレンジ圧搾法フロクマリン類(特にベルガプテン)使用後12時間以上避ける
※推奨される日光回避時間は、IFRA(国際香粧品香料協会)のガイドラインを参考にしています。

もっとも気をつけるべき精油は、ベルガモットです。また、すべての柑橘系精油に光毒性があるわけではありません。(スイートオレンジやマンダリンには光毒性がありません)

光毒性を考えるときは、抽出方法にも注意をしてください。「圧搾法」で抽出された場合には注意が必要です。「水蒸気蒸留法」で抽出された場合はおおむね問題はありません(後述します)。

柑橘系精油をお肌に使うときのポイントと注意点

フェイシャルアロママッサージ

日中の時間帯を避ける

光毒性を防ぐためには、日中のアロママッサージは避け、できるだけ夜に行ってください

日中にマッサージで使用する場合は、フロクマリンフリー精油や水蒸気蒸留法によって抽出された製品を選ぶようにしましょう。また、衣類で肌を覆ったり、日焼け止めを使用して紫外線を避けるのも大切です。

盲点になるのは、日焼けマシーンです。海外では重大な事故も発生しています。アロママッサージ後は日焼けマシーンの使用は避けてください。

「フロクマリンフリー」、「ベルガプテンフリー」の精油を使う

光毒性のリスクを避けるには、「フロクマリンフリー(FCF)」「ベルガプテンフリー」といったアロマオイル(精油)をおすすめします。特に光毒性が問題となるベルガモットには、あらかじめフロクマリン類を除去した精油があり、このような製品であれば、日中でも安全に使用することができます。

こうした精油は、「ベルガモットFCF」、あるいは「ベルガモット ベルガプテンフリー」といった名称で販売されています(多くのメーカーで取り扱いがあります)。ただ、通常のベルガモットよりも、香りの点では少し弱くなる場合が多いです。

フロクマリンフリー精油はどうやって作るの?

フロクマリンフリー精油の抽出は、まず圧搾法で精油を抽出した後に、フロクマリン類を除去するために「分別蒸留(Fractional Distillation)」という工程を行います。精油を真空状態で低温加熱し、沸点の違いを利用して成分を分離します。柑橘本来の香りを大きく損なうことなく、光毒性の原因となるフロクマリン類を99.9%以上除去することができます。

「水蒸気蒸留法」で抽出された精油を使う

柑橘系の精油は主に圧搾法で抽出されますが、水蒸気蒸留法で抽出された精油は基本的に光毒性はありません。これは、光毒性の原因となるフロクマリン類が蒸留の過程で取り除かれるためです。

例えば、レモンやライムは圧搾法の場合には光毒性がありますが、水蒸気蒸留法で抽出された場合は光毒性がなく、日中でも安心して使用できます。ただ、圧搾法のものに比べると、香りの点では少し弱くなる場合が多いです。

なぜ水蒸気蒸留法した柑橘系精油には光毒性がないの?

光毒性の原因になるフロクマリン類は、熱に対して不安定で、かつ、水に溶けにくい性質があります。水蒸気蒸留法では、原料となる植物に高温の水蒸気を通しますが、この過程でフロクマリン類は熱によって壊れてしまいます。また、水に溶けにくく、蒸留水に移行しにくいので、結果的に成分がほとんど残らないのです。

症状が出た場合の対処方法

光毒性による症状が現れた場合、以下の対処を行ってください。

  • すぐに洗い流す:石鹸とぬるま湯で優しく洗い流します。
  • 患部を冷やす:赤みや痛みを抑えるため、清潔なタオルで冷やします。
  • 保湿ケア:低刺激の保湿剤を使いますが、刺激を感じた場合は使用を中止してください。

症状がひどい場合は、迷わず医療機関を受診してください。

光毒性を気にせず使える柑橘系精油

スイートオレンジ精油

以下の柑橘系精油は、フロクマリン類の含有量がごく微量か、ほとんど含まないため、光毒性を気にすることなく安全に使用できます。

精油名抽出方法光毒性の有無
スイートオレンジ圧搾法 / 水蒸気蒸留法なし
マンダリン圧搾法 / 水蒸気蒸留法なし
タンジェリン圧搾法 / 水蒸気蒸留法なし
ユズ水蒸気蒸留法なし(※圧搾法には光毒性あり)

光毒性はなくても、柑橘の精油にはお肌に刺激を与えるものが多いですので、アロママッサージで刺激を感じたり、赤みやかゆみなどの症状が出た場合は、その精油の使用は控えたほうが良いでしょう。また、アロママッサージを行なう場合は、ホホバオイルなどで適切な濃度に希釈してお使いください。

おわりに

いかがでしたでしょうか?
柑橘系アロマオイルは魅力的な香りで多くの方に親しまれていますが、使用方法を誤ると光毒性による肌トラブルを引き起こすことがあります。光毒性の仕組みや気をつけるべき精油、注意点などを理解し、安全にアロマを楽しんでください。

著者プロフィール
元AEAJアロマテラピーインストラクター。エッセンシャルオイルの貿易実務に20年以上たずさわってきました。海外のアロマの文献などもチェックしています。

参考文献:
「アロマテラピーのための84の精油」ワンダ・セラー著 フレグランスジャーナル社
「精油の安全性ガイド(上巻、下巻)」ロバート・ティスランド著 フレグランスジャーナル社
「アロマテラピー事典」パトリシア・デービス著 フレグランスジャーナル社
「エッセンシャルオイル総覧2007」三上杏平著 フレグランスジャーナル社
「アロマテラピー検定テキスト(1級、2級)」鳥居鎮夫監修 社団法人日本アロマ環境協会
「アロマテラピーの事典」林真一郎著 東京堂出版
「キャリアオイル事典」レン・プライス著 東京堂出版
「アロマテラピー図鑑」佐々木薫監修 主婦の友社
「女性によく効くアロマセラピー」鮫島浩二著 主婦の友社
「アロマテラピーの事典」篠原直子著 成美堂出版
「はじめてのアロマテラピー」佐々木薫監修 池田書店
「はじめる、楽しむ アロマテラピー」石原裕子監修 永岡書店
「アロマテラピーバイブル」塩屋紹子監修 成美堂出版

アロマテラピーは、病気の治療を目的とした医療行為ではありません。また、当サイトの情報は、精油の医学的な効能、効果を保証するものでもありません。精油を使用する際には、製品についての注意事項をよく読み、自己責任の下、正しくお使い下さい。妊娠中の方、病気のある方、健康状態のすぐれない方は、必ず事前に医師にご相談下さい。 なお、一般的な呼称に合わせて、エッセンシャルオイル(精油)をアロマオイルと表記する場合もあります。

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